お店をみんなでシェアすること

 

 一宮の商店街の片隅に、小さなスペースを借りました。トイレを入れても4坪のこの場所が、まちに志を持つ人たちの、ささやかなオアシスになればと思っています。

 このスペースは「放胆屋(ほうたんや)」という、私の古いペンネームを全体の名前としていますが、中は色々な人たちの多様な活動の場となっています。

どんなお店でシェアしているか

 3と8のつく日(3、8、13、18、23、28)には私が三八屋(さんぱちや)という談話室をしています。営業時間は3時から8時まで、コーヒーは380円、オープンは3月8日。一宮のマチの興りともなった「三八市(さんぱちいち)」に思いを託し、色々な人の情報交流と楽しい時間が持てる場を目指しています。「まちとひと、旅と自然」をテーマにしたこの店で、1周年記念日には3坪ほどの店内に20人以上が入りこみ、何グループかのライブ演奏を聞きながら楽しいパーティを開きました。

 6のつく日(6、16、26)は、古布から洋服や小物を作る浅井久美子さんが「かじか屋」という店をしています。主婦でもあり広告関係の仕事をしている浅井さんは、開店しないほかの時を作品製作にあて、また家事や仕事とバランスを取って運営しています。色々なクラフトフェアで出会った方たちに「かじか屋」の場所とオープン日を伝えることで、遠くからもたくさんの方が足を運んでくださるようです。店内では時々ワークショップを開いて、服作りを教えたりもしています。

 1日と15日は十五夜(じゅうごや)です。水彩画、版画、工芸と多芸の福井教子さんは、ここで手作りの和菓子とお抹茶を出し、一閑張(いっかんばり)の作品を並べています。店の名にちなんだ、月をモチーフにしたお菓子はとても優しい味わいです。

 11日と22日には若い日本画家、喜田小夜子さんが桜庵(おうあん)というギャラリー兼アトリエを開いています。日展にも入選している彼女は、各地の画廊での個展やアート展に出展した折、時間がなくゆっくり話ができなかった人たちに「桜庵」へ来てもらって話しをし、他の作品や製作風景を見てもらったり、似顔絵を書いたりしています。

 7日、17日には家具とクラフトの土屋(つちや)が開きます。木工職人の土屋保徳さんは、主に古材を使い、鉋がけで鏡面を磨きだして力強い作品を生み出しています。「三八屋」で使っている椅子は、やすりを使わず、釘もまったく使わずに暖かく人を包み込みます。

 毎週金曜の夜には、地元産の地ビールを出す()()が開きます。尾張ブルワリーで木曽川の伏流水を使い、品によっては地元産の米を加えて作られた地ビールと、これまた地元の味にこだわる色々な飲食店からつまみを取り寄せ、樽詰めビール売り切れ御免で、この地この場所の味を広めています。

この他0のつく日限定の居酒屋「零天(れいてん)」などのプランが上がっています。

志民によるシェア

 この店は、大家さんや不動産屋さんにとても強く応援してもらって成り立っています。

ここへ出店している人たちはまた、マチの明日の姿についても、強く主体的に動いていく志ある人々〜「志民」でもあります。店内の茶碗、スイッチプレート、看板、内装などは地元一宮、尾張の人に作ってもらっています。またこの地方から消えていった煉瓦倉庫のカケラや取り壊されたノコギリ屋根の繊維工場の机などを置いています。

ここは時間貸しのレンタルスペースではなく、この地この場所の地元ルネッサンス復興とアイデンティティ形成へのシグナル発信地、交差地であればと願っています。

時間のシェアと空間のシェア

 一つの店を複数の人々で利用することの例は、商店街による一坪ショップがあります。あの方式は、いわば場所の空間的共有ですが、「放胆屋」での実験は、場所の時間的共有です。場所の空間的シェアと時間的シェアです。

 マチの衰退化が言われていますが、より広いコミュニケーションを求めれば求めるほど、多くの「志民」と触れ合うことができます。こうした人たちが持つ大きな活力がなぜ表にでてこないのか、何が彼/彼女たちの思いを形にできないのか。これは私自身のことも含めてとても大きな問題です。

 家庭にあり、また仕事があり店舗を持てない人、生活していくためにはその店に張り付いたままではいられない人、思いはあっても表現の場のない人。こういう人たちと時間的に場所を共有することで、固定した場所、店舗でありながら諸障害をクリアすることが可能に思えるのです。

 他のことと同様、一つのものを共有するということは調整にとても手間取ります。しかしマチを能動的に面白くしたい、活性化したいという共通の思いを元に、また多くの方々の協力を得ることで、今まで捨てられていたもの、隠れていたものを日の当たる場所で輝かせることができるのではないでしょうか。

まちのフィールド実験として

 資金面、調整面で色々な問題を抱えつつ、しかしこうした問題をクリアしていくことで手に入る様々な資源に思いを寄せつつ、まちでのフィールドワーク的実験としての「時間共有ショップ」を展開していきたいと思っております。

 どうかご支援、ご協力、またご意見、ご批判いただきますようお願い申し上げます。

 

 2002年3月8日 三八屋1周年の日に 尾張一宮 星野博


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ウエブマスターな私へのメールはmailto:hiro@hoshinos.com

first upload 5/10/2002
last update 5/11/2002